症例概要
今回は、歯並びのデコボコと口元の突出感を主訴に来院された19歳女性の矯正治療症例をご紹介します。
患者様は「歯並びをきれいにしたい」「口元をもう少しすっきりさせたい」というご希望をお持ちでした。精密検査の結果、歯を並べるためのスペースが不足していたため、口元のバランスも考慮して抜歯矯正を行いました。
上下の表側ワイヤー矯正を用いて歯並びと噛み合わせを整え、動的治療期間1年3か月で良好な結果が得られました。
初診時の状態
初診時には歯並びの乱れが認められ、前歯が重なっている部分がありました。また、歯列全体のスペース不足により、口元が前方へ突出した印象でした。
見た目だけでなく、歯磨きのしやすさや噛み合わせにも影響がみられる状態でした。
まずは無料相談を行い、その後、精密検査を実施しました。
[精密検査内容]
・パノラマレントゲン撮影
・セファロレントゲン撮影(正面・側面)
・顔貌写真撮影
・口腔内写真撮影
・歯型採得
これらの資料をもとに診断を行い、治療方針をご説明しました。

診断内容
精密検査の結果、上下顎ともに歯を並べるスペースが不足している叢生(そうせい)が認められました。
無理に歯を並べると前歯がさらに前方へ傾斜し、口元の突出感が強くなる可能性があります。
そのため、歯並びだけではなく、横顔のバランスや口元の改善も考慮し、抜歯を併用した矯正治療が適切と診断しました。
リスク・副作用
矯正治療では、歯の移動に伴う痛みや違和感、口内炎が生じることがあります。また、むし歯や歯周病、歯根吸収、歯肉退縮、後戻り、治療期間の延長などのリスクがあります。


治療計画
精密検査の結果、出っ歯で歯をきれいに並べるためのスペースが不足していたため、上顎左右の第一小臼歯を抜歯し、表側ブラケット装置によるワイヤー矯正を行う治療計画としました。
治療開始時は上顎のみブラケット装置を装着し、犬歯から第一大臼歯の間にコイルスプリング(バネ)を使用しました。コイルスプリングは、歯と歯の間に適切なスペースをつくるための装置で、歯にやさしい力をかけながら少しずつ歯を移動させる役割があります。
歯の移動状況を確認しながら、その後下顎にもブラケット装置を装着しました。
また、装置同士の接触を防ぐため、第一大臼歯に咬合挙上(盛り上げ)を行いました。
治療経過
矯正治療開始後、まず上顎にブラケット装置を装着し、コイルスプリングを用いて犬歯周囲のスペースを確保しました。
約3か月後には下顎にもブラケット装置を装着し、上下同時に歯列の調整を進めました。
治療期間中は3、4週毎に来院していただき、ワイヤー調整を行いました。
歯並びが整うにつれて前歯の重なりが改善し、抜歯スペースを利用して前歯を後方へ移動させることで、口元もすっきりとした印象へ変化しました。
動的治療期間は1年1か月でした。
治療終了時には歯並びと噛み合わせが安定し、患者様にも満足いただくことができました。
その後は後戻りを防ぐため、保定装置(リテーナー)を使用した保定期間へ移行し、現在、経過観察中です。






治療前後の比較
療前は歯列のデコボコが目立ち、歯が重なっている部分がありました。また、口元にも突出感がみられました。
治療後は歯列全体がきれいに整い、前歯の重なりが改善されました。
さらに、抜歯スペースを利用して前歯を適切な位置へ移動させたことで、口元の突出感も改善し、横顔のバランスが整いました。
噛み合わせも安定し、機能面と審美面の両方で良好な結果を得ることができました。
院長のコメント
当院では一般歯科診療も行っているため、矯正治療に伴う抜歯にも対応しています。従って来院回数も減らすことができ、効率的な治療を行うことができます。さらに摩擦の少ないローフリクション装置、インプラントアンカーを併用することで、前歯の前後的な位置をほぼコントロールすることが可能となり、治療期間の短縮、歯の移動に伴う痛みや不快感を小さくすることができています。
歯の移動するスピードが速いので治療期間は短くなりますが、来院間隔が短くなり、1回1回の来院での確認が大変重要になります。たとえ1度のキャンセル等で通院間隔が伸びてしまうと、ワイヤーが刺さる、歯が動きすぎてしまうなどのトラブルが起きてしまい、結果として治療期間が延びることがあります。
誰しも矯正治療期間は短くしたいと考えていらっしゃると思いますが、患者さん自身の矯正治療に対する認識と協力が非常に大切です。それに当院のシステムがうまく組み合わされば予定通り治療が終われることが多いです。
またワイヤーが外れると治療は終了したかのように感じるかもしれませんが、保定治療としてマウスピースを適切に使用することでより緊密に歯が嚙み合ってきます。マウスピースの適切な使用方法と時間を必ず守ってください。

よくある質問(Q&A)
抜歯矯正をすると口元は引っ込みますか?
はい、改善が期待できます。
抜歯矯正では、歯を並べるためのスペースを確保し、そのスペースを利用して前歯を後ろへ移動させます。その結果、前に出ていた口元がすっきりし、横顔のバランスが整うことがあります。特に口元の突出感(口ゴボ)が気になる方では、変化を実感しやすい傾向があります。ただし、骨格や歯の位置、唇の厚みなどによって改善の程度には個人差があります。そのため、精密検査を行い、一人ひとりに合った治療計画を立てることが大切です。
矯正で歯のデコボコは治りますか?
はい、多くの場合、矯正治療で歯のデコボコ(叢生)は改善できます。
主な原因は、歯を並べるスペースが不足していることです。矯正治療では、お口の状態に合わせて歯を少しずつ正しい位置へ動かしていきます。歯並びが整うことで見た目がきれいになるだけでなく、歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病の予防にもつながります。また、噛み合わせの改善も期待できます。治療方法や期間は症状によって異なるため、まずは精密検査を受けることが大切です。
自分も抜歯矯正が必要か知ることはできますか?
抜歯が必要かどうかは、お口の中を見ただけでは判断できません。
歯並びだけでなく、骨格や噛み合わせ、口元の状態などを総合的に確認する必要があります。そのため、レントゲン撮影や歯型採得などの精密検査を行い、詳しく診断します。
「自分は抜歯が必要なのかな?」と気になる方は、まずは矯正相談を受けてみることをおすすめします。検査結果をもとに、ご自身に合った治療方法をご提案いたします。
まとめ
今回の症例では、歯並びの乱れと口元の突出感を改善するために、上下左右の第一小臼歯を抜歯して矯正治療を行いました。
抜歯矯正というと不安を感じる方もいらっしゃいますが、スペース不足が大きい症例では、歯並びだけでなく口元のバランス改善にも有効な治療方法です。
動的治療期間は1年1か月で良子な結果が得られました。
歯並びのデコボコや口元の突出感でお悩みの方は、一度矯正相談を受けてみることをおすすめします。精密な検査と診断を行うことで、ご自身に合った治療方法をご提案できます。早めに相談することで、より多くの治療方法からご自身に合った選択がしやすくなります。
こちらのブログではこれからも、矯正治療や歯科治療に関する情報を発信していきますので、皆様のお口の健康に少しでも役立てていただけますと幸いです。
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