「右下の奥歯で噛むと痛い」「歯ブラシをすると出血する」
このような症状で来院される患者さんは少なくありません。ブリッジは見た目では問題なく見えても、内部でむし歯や土台の劣化が進行していることがあり、症状の原因を正確に診断し、再発を防ぐための治療計画が重要になります。
今回は、実際の臨床の流れをもとに、ブリッジ下に発生したむし歯の症例をもとにセラミックスブリッジ補綴治療の進め方について説明します。
それでは、症例情報から見ていきます。

来院した理由
患者さんは、
・右下奥歯で噛むと痛い。
・歯ブラシ時に出血する。
という症状を訴えて来院されました。
見た目では大きな異常が分かりにくいケースでも、こうした「違和感」や「軽い痛み」は重要なサインです。
既往と口腔内の状態
口腔内を確認すると、右下奥歯に歯を失った部位があり、右下の4番目~7番目にかけて ブリッジ という被せ物(補綴装置)が装着されていました。
このようなブリッジは、失った歯を補うために有効な補綴装置ですが、以下のようなリスクもあります。
・支台歯(支えの歯)に負担がかかる。
・歯磨きといった清掃が難しく、汚れが溜まりやすい。
・被せ物の内部でむし歯が進行しても気づきにくい。
・支台歯が悪くなるとブリッジ全体の再治療が必要になることがある。
検査と診断

レントゲン撮影を行ったところ、元々装着されていたブリッジの内部にむし歯(カリエス)を確認しました。
特に今回は、
・右下の7番目の奥歯で噛んだ時の痛み。(咬合痛)
・歯肉炎によるブラッシングでの出血。
が見られ、むし歯の進行が疑われる状態でした。
被せ物の下でむし歯が進行すると、外からは見えにくく、発見が遅れることがあります。
治療計画の立案
今回のケースでは、以下の流れで治療を行うこととなりました。
元々ついていたブリッジの除去。
むし歯の除去(カリエス治療)
被せ物の土台作り
仮歯の作成
最終補綴(セラミックスブリッジ)
また、右下の4番目は生活歯(神経がある歯)であるため、治療の際には麻酔を使用し、無痛下にて行いました。
治療の流れ
① ブリッジの除去
まずは元々ついていた銀歯のブリッジを慎重に取り外します。
ブリッジはセメントにて接着されているため、歯に負担をかけないよう丁寧な操作が必要です。
② むし歯の除去
ブリッジを外すことで、内部のむし歯が明確になります。
感染した歯質をしっかりと除去します。
むし歯は被せ物の内部で進行していることも多く、見た目だけでは判断できません。必要に応じて古いセメントや軟化した歯質も丁寧に除去し、健康な歯をできるだけ残すように治療を進めます。
ここを不十分にすると再発の原因になるため、非常に重要な治療です。

③ 土台(コア)の再構築
むし歯を取り除いた後、歯の形を補うために土台を立て直します。
土台は、最終的な被せ物の安定性に大きく関わる重要な部分です。
④ 仮歯の装着
治療期間中は仮歯を装着します。

仮歯の役割は
見た目の回復
咬み合わせの維持
歯の移動防止
最終補綴のシミュレーション
単なる「仮」ではなく、最終結果に大きく影響する重要なステップです。
⑤ 最終補綴:セラミックスブリッジ
今回は患者さんと相談の上、自費のセラミックスブリッジを選択されました。
【セラミックスを選択した理由】
・見た目が自然で審美性が高い。
・歯の色味に合わせられる。
・金属を使用しないため金属アレルギーのリスクが低い。
・表面が滑らかで汚れが付きにくい。
・長期的に安定しやすい。
費用については医院ごとに異なるため、その点も事前にしっかり説明を行いました。

⑥ 型取り(印象)とセット
歯の形を精密に再現するためにシリコンで型取りを行い、噛み合わせも細かく確認しました。完成したセラミックスブリッジを装着し、見た目と機能の両方を回復しました。装着後は適合状態や噛み合わせを丁寧に調整し、違和感が少なくしっかり噛める状態を確認しています。周囲の歯との色調も自然になじみ、口元の見た目も改善しました。その際、装着後の清掃方法もお話しました。
↓セット前


↓セット後


今回の症例から学べること
① ブリッジの中でもむし歯は進行する
ブリッジや被せ物が入っていても安心ではありません。内部や境目からむし歯が進行することがあります。見えにくいため発見が遅れやすく、定期的な確認が大切です。
② 痛みや出血は重要なサイン
「噛むと痛い」「歯ブラシで出血する」といった症状は、むし歯や歯周病のサインかもしれません。軽い症状でも放置せず、早めに受診することで治療の負担を軽減できます。
③ 定期検診の重要性
今回のようなケースは、定期的なチェックで早期発見できる可能性があります。
レントゲンによる確認
歯ぐきの状態チェック
被せ物の適合確認
これらを継続することで、大きなトラブルを防ぐことができます。
まとめ
今回の症例では、ブリッジ下に発生したむし歯が原因で、痛みと出血が起きていました。
適切な診断と治療により
・むし歯の除去
・土台の再構築
・セラミックスブリッジによる機能回復
を行い、良好な結果を得ることができました。
治療後はしっかり噛めるようになり、見た目も自然に改善しています。ブリッジは装着後のメインテナンスも重要であり、定期的な検診やクリーニングを継続することで、長期的な安定につながります。
最後に
ブリッジや被せ物が入っている方ほど、「見えない部分のリスク」に注意が必要です。
・噛むと違和感がある
・出血しやすい
・食べ物が詰まりやすい
こうした症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
特にブリッジ周囲は汚れが溜まりやすく、ご自身では気づきにくい変化も少なくありません。症状が軽いうちに確認することで、歯を残せる可能性が高まり、治療の負担軽減にもつながります。
また、定期的なメインテナンスでは、普段の歯みがきでは落としきれない汚れや、初期のむし歯・歯周病の変化を早期に発見できます。ブリッジを長持ちさせるためにも、継続的な管理がとても重要です。
日々のセルフケアと定期的なメインテナンスを組み合わせることで、長く健康なお口を保つことができます。
こちらのブログではこれからも、矯正治療や歯科治療に関する情報を発信していきますので、皆様のお口の健康に少しでも役立てていただけますと幸いです。
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