前歯のねじれと歯並びの乱れを改善した矯正治療症例
「上の前歯がななめになっているのが気になる」というお悩みで来院された18歳女性の矯正治療症例をご紹介します。
患者さんは以前から前歯の重なりやねじれを気にされており、人前で笑う時に口元を意識することが多かったそうです。
精密検査を行った結果、歯列内のスペース不足による叢生(そうせい)が認められました。さらに、下顎左右の第二大臼歯に先天欠損があり、その影響で右上第二大臼歯の挺出も確認されました。
歯並びだけでなく咬み合わせ全体のバランスを考慮し、左上第一小臼歯および右上第二大臼歯の抜歯を行ったうえで、上下マルチブラケット装置による表側ワイヤー矯正を実施しました。
約1年11か月の治療を経て、前歯のねじれや重なりが改善し、機能面と審美面の両方に配慮した歯並びへと整えることができました。
今回は、診断内容から治療経過、費用まで詳しくご紹介します。

症例情報
| 項目 | 内容 |
| 年齢 | 18歳 |
| 性別 | 女性 |
| 主訴 | 上の前歯がななめになっている |
| 診断名 | 叢生(歯列不正) |
| 治療方法 | 表側ワイヤー矯正(上下マルチブラケット装置) |
| 抜歯部位 | 左上第一小臼歯、右上第二大臼歯 |
| 使用装置 | マルチブラケット装置、エラスティックゴム |
| 治療期間 | 1年11か月 |
| 通院回数 | 月1回程度 |
| 保定装置 | リテーナー |
| リスク・副作用 | 痛み、口内炎、歯根吸収、歯肉退縮、 虫歯・歯周病リスク、後戻りなど |
矯正相談時のお悩み
患者さんが最も気にされていたのは、上顎前歯のねじれでした。前歯の傾きは、見た目の印象に大きく影響します。特に笑った時や写真撮影時に気になるケースが多く、矯正相談で比較的多く聞かれる主訴の一つです。
高校卒業を機に「これから先の人生を考えて今のうちに歯並びを整えたい」とのことで矯正相談へ来院されました。
相談時には、
・治療期間はどのくらいかかるのか
・抜歯は必要になるのか
・費用はどれくらいかかるのか
・痛みはどの程度あるのか
といったご質問をいただきました。
そこで、まず現在の歯並びや咬み合わせの状態、治療方法の選択肢や予想される治療期間と費用ついて説明し、十分にご理解いただいた上で精密検査へ進みました。
『治療開始前』



精密検査と診断
矯正治療では歯並びだけではなく、顎骨の形態や咬み合わせ、歯の位置関係を総合的に評価することが重要です。
本症例では、
・パノラマレントゲン撮影
・セファロレントゲン撮影
・口腔内写真撮影
・顔貌写真撮影
・歯型採得
を実施しました。

検査の結果、前歯部には明らかな叢生(でこぼこした歯並び)が認められ、歯列内のスペース不足によって前歯が適切な位置に並びきれていない状態でした。
さらに、下顎左右の第二大臼歯が先天的に欠損していることが確認されました。
先天欠損とは、生まれつき永久歯が存在しない状態を指します。今回の症例では下顎第二大臼歯が存在しなかったため、咬み合う相手を失った右上第二大臼歯が徐々に挺出していました。
挺出した歯は咬み合わせの障害となる場合があり、将来的な咬合の安定性にも影響を与える可能性があります。
また、前歯のねじれや歯列不正の程度を考慮すると、非抜歯で歯を並べた場合には前歯が前方へ突出し、口元のバランスを損なう可能性がありました。
そのため、左上第一小臼歯を抜歯してスペースを確保し、さらに挺出していた右上第二大臼歯を抜歯する治療方針としました。
治療計画について
今回の症例では、上下にマルチブラケット装置を装着する表側ワイヤー矯正を選択しました。
ワイヤー矯正は歯の移動量や方向を細かくコントロールできるため、前歯のねじれや叢生の改善(でこぼこした歯並び)の改善に適した治療法です。
まず、歯列内のスペース不足を解消するために左上第一小臼歯を抜歯しました。
第一小臼歯は前歯と奥歯の中間に位置しており、矯正治療においてスペース獲得のために選択されることがあります。抜歯によって得られたスペースを利用して、重なった前歯を適切な位置へ移動させる計画としました。
治療開始前には、
・治療期間の目安
・抜歯の必要性
・治療費と支払い方法
・装置装着時の違和感
・毎月の通院の必要性
について詳しく説明しました。
患者さんにも治療内容をご理解いただき、同意のもとで矯正治療を開始しました。

矯正治療の経過
治療開始後はまずは上の歯にマルチブラケット装置を装着し、同時に抜歯も行いワイヤーによる歯の移動を開始しました。
また、矯正治療では患者さんご自身によるセルフケアも非常に重要です。
装置周囲は汚れが溜まりやすくなるため、歯磨き方法についても丁寧に指導を行いました。
装置装着後数日間は圧迫感や軽度の痛みがみられましたが、徐々に慣れていかれました。
治療初期には、重なっていた前歯が少しずつ整列し始めました。
歯列が改善する過程では一時的に隙間が生じる時期もありましたが、計画通りに歯が移動している証拠でもあります。
治療開始から半年後に下の歯にもマルチブラケット装置を装着し、ワイヤーによる歯の移動を開始しました。
また、上下の咬み合わせを細かく調整するためにエラスティックゴムを使用しました。
そのため、ゴムかけの重要性について説明しました。
患者さんは毎月の通院を欠かさず、ゴムかけや口腔清掃にも積極的に取り組んでくださいました。
その結果、大きなトラブルなく順調に歯の移動が進みました。
治療終盤では前歯の位置や咬み合わせを微調整し、機能面と審美面の両方を考慮した仕上げを行いました。
約1年11か月で歯列と咬み合わせが安定し、矯正装置を撤去しました。
『矯正開始半年後』 『矯正開始1年後』






治療後の変化
治療後は前歯のねじれや重なりが改善し、歯列全体が整いました。
笑った時の歯並びが自然になり、口元の印象もすっきりとしたものになりました。
また、歯が正しい位置に並んだことで歯ブラシが届きやすくなり、清掃性の向上も期待できます。
さらに、挺出していた右上第二大臼歯を抜歯し咬み合わせを整えたことで、咀嚼機能の改善や咬合の安定にもつながりました。
患者さんからは、
「以前より自然に笑えるようになった」
「歯磨きがしやすくなった」
「歯並びがきれいになったので矯正を始めてよかった」
という感想をいただきました。
矯正治療は見た目だけでなく、機能面や長期的な口腔内環境の改善にもつながる可能性があります。
『矯正治療終了後』



矯正治療にかかった費用

保定について
矯正治療後は、歯が元の位置へ戻ろうとする「後戻り」を防ぐため、保定装置(リテーナー)を使用します。
治療によって整えた歯並びを安定させるためには、保定期間中のリテーナー装着が非常に重要です。
当医院では半年ごとに定期的な経過観察を行い、歯列や咬み合わせの安定状態を確認していきます。
現在、患者さんは後戻りはなく、安定した状態のため約2年間の保定期間は終了しました。
矯正治療は装置を外して終わりではなく、その後の保定管理まで含めて治療と考えています。
矯正治療を終了した現在の状態
保定期間を終了した現在は右上の親知らずが萌出してきました。そのため、将来的に挺出するリスクが考えられました。患者さんに親知らずの状態、起こり得るリスク、治療方法を説明した上で、右下の先天性欠損部にインプラント治療を選択されました。



同じようなお悩みをお持ちの方へ
前歯のねじれや歯並びの乱れは、見た目だけでなく、歯磨きのしやすさや咬み合わせにも影響することがあります。
また、先天欠損のように自覚症状がなくても、咬み合わせに影響を与えているケースもあります。
現在ではさまざまな矯正治療の選択肢があり、一人ひとりの歯並びやライフスタイルに合わせた治療計画を立てることが可能です。
歯並びや口元について気になることがありましたら、まずは矯正相談で現在の状態を確認してみてはいかがでしょうか。
まとめ
本症例は、前歯のねじれを主訴に来院された18歳女性に対し、左上第一小臼歯および右上第二大臼歯の抜歯を併用した表側ワイヤー矯正を行った症例です。下顎左右第二大臼歯の先天欠損による咬合の問題にも配慮しながら治療を進め、約1年11か月で歯並びと咬み合わせを改善しました。前歯のねじれが解消され、口元の見た目だけでなく清掃性や咀嚼機能の向上も期待できる良好な結果が得られました。
矯正治療を終了には、右下にインプラント治療を行い、右側の咬み合わせも改善する事が出来ました。
こちらのブログではこれからも、矯正治療や歯科治療に関する情報を発信していきますので、皆様のお口の健康に少しでも役立てていただけますと幸いです。
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