
矯正治療が原因で唾液の分泌量が減ったり、ドライマウスになることはありません。
ただし、装置の影響で一時的にお口の乾燥を感じる場合があります。
では、どうしてお口が乾いているように感じるのでしょうか?
現在矯正中の方も、そうでない方も
「最近なんだか口が乾きやすい…」
「口の中がネバネバする…」と感じることはありませんか?
ドライマウス(口腔乾燥)は、単に「口が乾く」というだけでなく、
虫歯・歯周病・口臭のリスクを上げるなど、口腔環境に大きな影響を与える症状です。
特に今のように気温が低く乾燥している時期は、インフルエンザなどのウイルス感染症にもかかりやすくなってしまいます。
この記事では、矯正歯科の視点から、
ドライマウスの原因・問題点・矯正治療との関係・改善方法 まで、
わかりやすく解説します。
目次
そもそもドライマウスとは?

ドライマウスとは、医学的には 口腔乾燥症 と呼ばれ、
唾液の分泌量が減ったり、唾液の質が低下することで、口の中が乾燥した状態を指します。
代表的な症状は以下の通りです。
・口が乾く、ネバつく
・水をよく飲むようになった
・唇や舌がひび割れる
・食べ物が飲み込みにくい
・口臭が気になる
・味覚が低下したように感じる
軽度の乾燥から、日常生活に影響する重度のものまでさまざまです。
ドライマウスはなぜよくないの?

ドライマウスがよくない理由は、唾液が減ることで口や体の防御機能が低下してしまうからです。
ドライマウスが続くと、以下のようなトラブルが起きやすくなります。
虫歯になりやすくなる
唾液の量が減ると、自浄作用や再石灰化が働きにくくなります。
歯周病リスクが上がる
細菌が増加し、歯ぐきに炎症が起きやすくなります。
口臭が強くなる
口が乾くと舌の汚れ(舌苔)が増え、口臭の原因となります。
口内炎や舌痛症が起きやすくなる
粘膜が乾燥して傷つきやすくなります。
入れ歯・矯正装置が当たりやすくなる
唾液の潤滑作用がなくなることで、装置が擦れる原因になります。
ウイルスに感染しやすくなる
唾液の自浄作用(感染防御の役割)が低下し、ウイルスが粘膜に付着・侵入しやすくなります。
なぜ矯正中はお口が乾いているように感じるの?

ここからが本題です。
矯正中に「口が乾く」「口臭が気になる」と悩む方は少なくありません。
なぜ、そのように感じるのでしょうか?
① 装置による口呼吸の増加
矯正中は口内に異物感があり、無意識に口が開きやすくなります。
口呼吸が増えると、唾液が蒸発し、乾燥を助長します。
② 装置が唾液の流れを妨げる
ブラケットやワイヤーがあることで、唾液が口の中を均一に循環しづらくなることがあります。
③ 矯正装置装着による飲食の変化
矯正装置の違和感で、一時的に十分な咀嚼ができず、
唾液分泌が減ったように感じる人もいます。
④ マウスピース矯正の場合は?
インビザラインなどのマウスピース矯正でも、マウスピース(アライナー)は長時間装着するため、
唾液が歯全体に行きわたりにくいと感じる場合があります。
特に矯正治療開始初期は、慣れない感覚に緊張やストレスを感じることで唾液の分泌が減ってしまうことも考えられます。装置に慣れてくるうちに改善されることがほとんどですが、その後もお口の乾燥を感じている場合には、意識的なケアが重要です。
お口の乾燥が気になる場合の対策方法はある?
はい、お口の乾燥を軽減できる日常的な対策方法があります。
矯正中でも効果的な方法をご紹介します。
① 水分補給をこまめに

一気に飲むより、少しずつ頻繁に飲むことが大切です。
※糖分入り飲料は虫歯のリスクが上がるためおすすめできません。
② 鼻呼吸を意識する
鼻づまりがある場合は、耳鼻科の治療も検討しましょう。
③ 唾液腺マッサージ

耳下腺、顎下腺、舌下腺を軽くマッサージすることで唾液分泌が促進します。
④ よく噛んで食べることを意識する
食べものをよく噛むことで唾液分泌量がアップします。
※固い食べ物は矯正装置の故障の原因となりますので、一口サイズで柔らかく食べやすいものがおすすめです。
⑤ 口腔保湿ジェルやスプレー
医療用の保湿ジェルは、乾燥の強い方にとても有効です。
→マウスピース矯正中の人は「装着時間を守る」こと
乾燥しても装着時間を短くするのは逆効果。習慣的に外すと治療計画が乱れます。
お口の乾燥を感じやすい原因は歯並びかも?

「矯正中ではないけど私もドライマウスかも?」と思った方、
元々の歯並びや咬み合わせが原因で「お口が乾きやすい」環境になっていることがあります。
矯正治療がドライマウスに気付く「きっかけ」になるかもしれません。
① 開咬(前歯が噛み合わず口が閉じにくい)
前歯が閉じないことで唇も完全に閉じづらく、口呼吸が習慣化しやすいタイプです。
その結果、口内が常に空気にさらされ、乾燥しやすくなります。
② 上顎前突(出っ歯)で唇が閉じにくいケース
上の前歯が前に出ていると、無理に力を入れないと唇が閉じられません。
そのため、日常的に口が半開きになり、乾燥が進むことがあります。
③ 下顎前突(受け口)による口唇のズレ
上下の唇が自然に噛み合わず、口が少し開きやすい状態になり、
口呼吸の癖につながることがあります。
④ 歯列が狭く、気道や舌の動きに影響が出る場合
歯列が狭いと舌の位置が安定せず、口が開きやすい姿勢になることで乾燥を助長することがあります。
【こうした歯並びの方へ】
お口が乾きやすいのは、単なる体質だけでなく、元々の歯並びや咬み合わせによるものの可能性があります。特に開咬や出っ歯など唇が自然に閉じにくい歯並びの方は、無意識のうちに口呼吸が習慣化し、ドライマウスや口臭、虫歯リスクの増加につながることがあります。
矯正治療によって唇が閉じやすいバランスに整えることで、口呼吸から鼻呼吸に戻りやすくなり、乾燥しにくい口内環境をつくることができます。
見た目の改善だけでなく、健康面でもメリットが大きいため、乾燥や口呼吸が気になる方は一度、歯科矯正専門医へ相談されることをおすすめします。
ごとう歯科・矯正クリニックでは開咬や上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)など数々の歯並びのお悩みに対応しています。また、手術を伴う顎変形症の治療・手術につきましては、当院は山形県から指定を受けているため、健康保険を使った矯正治療が可能です。
よくある質問(FAQ)
Q1. お口の乾燥は放置しても大丈夫ですか?
A.お口の乾燥を放置することはおすすめできません。唾液の分泌量が減ると、口の中の自浄作用や抗菌作用が弱まり、虫歯・歯周病・口臭などのトラブルが起きやすくなります。さらに口内炎が治りにくくなったり、食事や会話がしにくくなることもあります。矯正中の場合は、装置に汚れがつきやすくなり、より口腔環境が悪化しやすいです。乾燥を自覚したらそのままにせずに、早めにケアを始めることが重要です。
Q2. 矯正中は口呼吸になりやすいですか?
A. 矯正中は、装置による「口の中の異物感」や「唇が閉じにくい状態」から、口呼吸になりやすい傾向があります。特にワイヤー矯正ではブラケットやワイヤーが唇を押し出す形になり、無意識に口が少し開いてしまうことがあります。また、マウスピース矯正でも装着直後は厚みの影響で閉じにくさを感じる場合があります。もし口呼吸が続く場合は、鼻づまりの有無や生活習慣、矯正装置の当たり具合を歯科医師に相談し、必要に応じて装置調整を行うことで改善が期待できます。
Q3. 矯正をすると必ずドライマウスになりますか?
A.矯正をすると必ずドライマウスになるわけではありません。治療初期は、装置の違和感により口が閉じにくく感じたり、十分に噛めないことで、唾液の分泌が減ったように感じることがあります。その結果、お口の乾燥が気になる場合もありますが、多くは装置に慣れるにつれて改善する一時的な症状です。また、マウスピース矯正でも装置を長時間装着するため、乾燥を感じる方はいます。矯正中は普段より口腔環境が変化しやすいため、乾燥を感じた際は早めの対策が効果的です。
Q4. ドライマウスは治りますか?
A. ドライマウスは原因によって改善の度合いが異なりますが、生活習慣や呼吸の仕方、唾液腺マッサージ、保湿ジェルの使用などで軽減が期待できます。薬の副作用が原因の場合は、医師と相談して薬の調整が可能なこともあります。また矯正中に一時的に乾燥する場合は、装置への慣れとともに改善することも多いです。対策を続けることで快適さは大きく変わります。
まとめ

「口の中が乾く」というと軽い症状に思えますが、
虫歯・歯周病・口臭・感染防御力の低下などに大きく影響することがあります。
特に矯正治療中は、装置や生活習慣の変化によって乾燥を感じやすくなるため、
早めの対策がとても大切です。
🔸 水分補給
🔸 鼻呼吸の習慣化
🔸 唾液腺マッサージ
🔸 よく噛んで食べる
🔸 加湿・保湿
を意識し、口腔環境を整えていきましょう。
気になる症状がある場合は、お気軽に当院へご相談ください。
あなたの矯正治療が快適に進むよう、しっかりサポートいたします。
こちらのブログではこれからも、矯正治療や歯科治療に関する情報を発信していきますので、皆様のお口の健康に少しでも役立てていただけますと幸いです。
山形市での矯正はごとう歯科・矯正歯科クリニック✨🍀
👉ごとう歯科・矯正歯科クリニック公式LINEアカウント:https://lin.ee/UAGDkMQ
咬み合わせについてもっと知りたい方はこちら:咬合治療はすべての入り口 | ごとう歯科・矯正歯科クリニック
過去のおすすめ記事:矯正治療とホワイトニングは併用できる?メリット・注意点・成功させるコツを解説! | ごとう歯科・矯正歯科クリニック







