皆さんは、歯列矯正と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?
多くの人が装置が表側に付いた「表側矯正(ラビアル矯正)」をイメージすると思います。
しかし、最近ではより目立たない矯正方法として「舌側矯正(リンガル矯正)」が注目を集めています。
舌側(ぜっそく)矯正とは、歯の裏側(舌側)に矯正装置(ブラケットやワイヤー)を装着して歯並びを整える治療方法です。
矯正装置がほとんど見えないため、人目を気にせずに治療が出来ます。
人にばれずに矯正がしたい人にとって非常に魅力的な治療方法の一つとなっています。
本記事では、舌側矯正の特徴、メリット・デメリット、適応症例、治療の流れについて詳しく解
説します。


舌側矯正の特徴
舌側矯正は、外からは装置が見えにくく会話中や笑った時にも気づかれにくい点が最大の特徴で
す。
審美性を重視する成人、特に営業職や接客業、芸能関係の仕事に従事する人々からの需要が
高まっています。
この矯正方法は、通常の表側矯正と同じようにさまざまな歯列不正に対応でき、軽度から中等度の不正伵合だけでなく、重度の歯列不正にも適応可能です。
ただし、矯正装置の取り付けが難しく高度な技術を必要とするため、舌側矯正ができる医院は限られています。
舌側矯正のメリット
・目立たない:装置が見えないので人目を気にせずに治療ができる。最大のメリットは装置が
見えないこと。日常生活で矯正していることを知られたくない人に最適です。
・虫歯リスクの軽減:歯の裏側は唾液が循環しやすく、唾液には自浄作用があるため、虫歯や
歯垢のリスクが比較的低くなるという報告もあります。
・スポーツ・楽器演奏への影響が少ない:表側矯正に比べ、唇や頬に装置が当たりにくく吹奏
楽器や接触スポーツへの影響が少ない場合があります。
舌側矯正のデメリット
・発音のしづらさ:装置が舌に近いため、特に装着初期は「サ行」や「タ行」などが発音しに
くくなることがあります。数週間で慣れる人が多いですが、個人差があります。
・違和感と痛み:舌が装置に触れるため、口内炎や違和感が出ることがあります。慣れるまで
1~2ヶ月かかるケースもあります。
・治療費が高い:表側矯正に比べて費用が高めです。理由としては、専門性の高い技術が必要であることや、オーダーメイドの装置を使用することが挙げられます。
舌側矯正に向いている人
・矯正装置を他人に気づかれたくない人
・見た目に配慮しつつしっかりと矯正治療を受けたい人
ただし、重度の骨格性の不正伵合など、すべての症例に適応できるわけではありません。精密検
査と専門医の診断に基づいて、適応の可否を判断することが大切です。
治療の流れ
舌側矯正の治療の一般的な流れは以下の通りです。
1.初診相談・精密検査:カウンセリング、レントゲン撮影、口腔内写真、歯型採取などを行い、
治療計画を立てます。
2.装置の作製と装着:歯の裏側に装着するため、患者様ごとにのブラケットをオーダーメイド
します。
3.定期調整:約4週間ごとに通院し、歯の動きに合わせてワイヤーやゴム交換やを行います。
4.保定期間:矯正終了後は歯並びを安定させるため、リテーナー(保定装置)を装着します。
5.舌側矯正とインビザラインの違い
目立たない矯正方法としては、「インビザライン」などのマウスピース矯正も人気ですが、舌側矯
正は固定式であるため、自己管理が不要という利点があります。
一方で、インビザラインは取り外し可能で清掃がしやすく、痛みが少ないという特徴があります。どちらが適しているかは、生活スタイルや治療目標によって異なります。
まとめ
舌側矯正は、審美性を重視する人にとって非常に魅力的な治療方法でありながら、治療には高度
な技術と注意が必要な方法でもあります。
装置の見た目に抵抗があるけれど、しっかりとした矯正治療を望む方には特におすすめです。
矯正治療を始める際は、専門医とよく相談し、自分にとって最適な方法を見つけることが成功の伴です。
症例紹介
治療前


治療後


主訴 | 上の歯出てる、口元出てる |
診断名 | 上顎前突 |
年齢 | 20代男性 |
治療内容 | ブラケットを用いたインプラントアンカー2本埋入 |
抜歯非抜歯 | 抜歯あり 上44下55EXT |
期間 | 動的治療25ヶ月 |
費用 | 総額1,364,000(税込) |
リスク、副作用 | 歯痛、虫歯、歯周病、口内炎、発音障害、歯根吸収、歯肉退縮、歯髄炎、顎関節症、歯の咬耗、エナメルクラック |